- 2022.06.02
- 【空飛ぶクルマ】次世代空モビリティの社会実装に向けて
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization.)
通称:NEDOは、2022年5月2日に、「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」に係る公募について発表しました。
詳細:https://www.nedo.go.jp/koubo/CD2_100304.html
政府としては、近年、今回のプロジェクトだけに留まらず、「空飛ぶクルマ」の社会実装に向け、民間企業との共同研究や実証実験を推進しています。
-TOPICS-
1.「空飛ぶクルマ」への期待
2.日本国内の現状
3.世界の現状
4.今後の課題と目標
1.「空飛ぶクルマ」への期待
政府では、ドローンや空飛ぶクルマを総称して、「次世代空モビリティ」と呼称しています。これまで無人地帯での撮影や点検、農薬散布などに活用されてきた無人のドローンですが、政府は、開発を促進し、制度を整え、こうした次世代空モビリティが、新しい物流手段、そして新しい移動手段として社会実装され、経済を活性化させていくことを目指しています。
例えば、渋滞の多発する都市部や、離島や山間部等の移動困難地域での新しい移動手段として、次世代空モビリティは、既存の飛行機やヘリコプターと比べ、機体、運航、インフラにかかるコストが安くなり、速く・安く・便利にヒトとモノが移動できる新たな移動手段となることが期待されています。
更に、これらに対し政府が促進することで、新たな市場、産業を創出することも期待されています。次世代空モビリティは、完成機販売・メンテナンス等の機体事業のほか、モータ、制御システム、通信モジュール等の装備品事業、地上システム、離着陸設備等のインフラ事業及び物流、警備、点検、空撮等のサービス提供事業などの大きな市場が創出されることが想定されており、それぞれの領域について、研究開発が活発化しています。
その一方で、次世代空モビリティを社会実装するためには、電動化や自動化等の「技術開発」、実証を通じた運航管理や耐空証明等の「インフラ・制度整備」、社会実装を担う「担い手事業者の発掘」、国民の次世代空モビリティに対する理解度の向上いわゆる「社会受容性向上」などの課題も解決していくことが求められており、社会実装まではまだまだ時間が掛かるのも事実です。次項では、日本国内でのこの分野の開発状況を探ります。
―関連資料―
「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/index.html
「空の移動革命に向けた官民協議会」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/index.html
「成長戦略フォローアップ(2021年6月18日閣議決定)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/fu2021.pdf
2.日本国内の現状
日本国内のドローンビジネスの市場規模は、2022年に約3,200億円規模が予測されており、2025年には約6500億円規模と倍以上に成長することが予測されています。また、空飛ぶクルマの市場規模は2030年には約7,000億円、2040年には約2.5兆円に成長すると予測されています。
ドローンについては、無人地帯での目視外飛行(レベル3)に加え、有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実現に向けて制度整備が進んでおり、2022年度以内に実装される予定です。
これらの制度設計には、まず、機体の安全基準への適合性を検査する機体認証制度や、ドローンを飛行させるために必要な知識及び能力を有することを証明する操縦ライセンス制度及び共通運航ルールが必要となり、今度中の運用が開始されます。
空飛ぶクルマについても、2022年3月の「第8回空の移動革命に向けた官民協議会」にて機体の安全基準、運航安全基準、操縦者の技能証明などの制度整備及びユースケース検討会の検討結果を踏まえて「空の移動革命に向けたロードマップ」が改訂された。また、国際的な制度整備動向や標準化動向と調和しながら、機体開発や周辺技術開発が加速しています。
トピックとしては、2025年に開催される大阪・関西万博でのお披露目を目指し、
「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」が設置され、離着陸場の整備や運航等についてより具体的な議論を進められています。また、大阪府では空飛ぶクルマの実現に向けた取組みを加速させていくことを期して、具体的かつ実践的な協議・活動の核となる「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」が設立されました。
「ドローンビジネス調査報告書2021」インプレス総合研究所
https://research.impress.co.jp/drone2021
「”空飛ぶクルマ”の産業形成に向けて」PwC コンサルティング合同会社
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2020/assets/pdf/flying-car.pdf
3.世界の現状
次世代空モビリティについては欧米を中心に機体開発や運航コンセプトの検討が進んでおり、今後、機体・サービス市場ともに大きく発展が見込まれ、2040年には約1兆ドルの市場を予想しています。
欧州では、欧州連合(EU)のフレームワークプログラムの第8期にあたる「Horizon2020」において2014年から2020年の7年間でドローンや空飛ぶクルマについて多くの研究開発や実証実験が支援しており、2021年からは第9期フレームワークプログラム「Horizon Europe」に移行されています。こうして制度設計の進捗は日本よりも進んでおり、すでに、社会受容性向上を目的とした実証実験などが行われており、2024年のパリオリンピックでの飛行を目指している。
米国では、航空宇宙局(NASA)が研究開発や実証実験の支援を行っているほか、2020年に連邦航空局(FAA)が運航に関する制度設計コンセプトをまとめた「ConOps V1.0」を発行し、今年中に、更新版を発表予定です。機体開発支援については、米国防総省による「Agility Prime」も提供されており、早期の型式証明取得に向けた動きが加速しています。こうして定められたルールや制度を基に実証実験が盛んに行われており、すでに複数社が FAA へ型式証明を申請済みで、早ければ2024年頃から商業運航が開始されるとのことです。
Morgan Stanley /May6,2021“eVTOL/Urban Air Mobility TAM Update
https://assets.verticalmag.com/wp-content/uploads/2021/05/Morgan-Stanley-URBAN_20210506_0000.pdf
4.今後の課題と目標
日本では、これら諸外国の制度も参考にしつつ、制度設計と機体開発に必要な実証実験を進めていきます。今回NEDOが公募を開始したプロジェクトのねらいは、
「本事業のねらい
労働力不足や物流量の増加に伴う業務効率化、コロナ渦での非接触化が求められる中、次世代空モビリティによる省エネルギー化や人手を介さないヒト・モノの自由な移動が期待されている。その実現には次世代空モビリティの安全性確保と、運航の自動・自律化による効率的な運航の両立が求められる。本事業ではドローン・空飛ぶクルマの性能評価手法の開発及びドローン・空飛ぶクルマ・既存航空機の低高度での空域共有における統合的な運航管理技術の開発を行うことで省エネルギー化と安全で効率的な空の移動を実現する。」
と定めており、その手段として、機体の性能評価手法の開発及びドローン・空飛ぶクルマ・既存航空機の低高度での空域共有における統合的な運航管理技術を開発することととしています。
▼本プロジェクトの研究開発スケジュール
またその後のアウトカム的、具体的な目標として、下記を掲げています。
・本事業により、ドローン・空飛ぶクルマの性能評価手法の確立や空域共有における統合的な運航管理技術が実用化され、次世代空モビリティの社会実装が実現することで、2035年において約840万tのCO2削減が期待されること。
・2035年に1日あたりのドローンの飛行計画通報数4,000件を目標とし、ドローンの日常社会への浸透に貢献、また、1日あたりの空飛ぶクルマの旅客輸送便数2,500便を目標とし、空飛ぶクルマの旅客輸送サービスの実現。
引用:https://www.nedo.go.jp/content/100945980.pdf
なお、弊社(株式会社スカイロボット)でもこのプロジェクトへの参画および協力を予定しており、今後の業界発展に寄与していきます。ご一緒に進めて頂ける研究機関・企業様などいらっしゃいましたらお問い合わせフォームよりご連絡下さいませ!
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