【水稲湛水直播】リゾケア®XL
(シンジェンタ社製)播種報告@福島県北塩原村
2022.05.24
皆さまは、シンジェンタジャパン株式会社が、2021年から一部の地域で試験販売を開始している
水稲湛水直播向けコーティング処理済み種子「リゾケア® XL」をご存じでしょうか?
弊社では、5月20日(金)に福島県内でDJI社農業ドローンを取り扱う山本商事株式会社がオペレーションを担当した北塩原村でのリゾケアXL種子のドローン播種に同行してまいりました。
村長様のご挨拶とシンジェンタジャパン株式会社ご担当者様の製品説明の後、
飛び立ったMG-1Pは、ドローン日和の空の下、大豊作となるのを祈りながら1反を10分ほどで、
播種を完了しました。本コラムでは、リゾケア直播とドローン直播についてご紹介いたします!
-TOPICS-
1.ドローン直播のメリット
2.リゾケアXLのメリット
3.ドローン直播の方法や注意点など
4.最後に
1.ドローン直播のメリット ~省力化とコストカット~
そもそもこれまで水稲栽培においては、1970年代に普及し始めた「田植え機」を使用する方法が、
今日まで50年間変わらない田植えの方法として続けられています。しかしながら、現在、日本の農業は、
高齢化や肥料コスト上昇、新型コロナウイルス流行に伴う米価の下落など、大きな課題に直面しています。
そういった課題に対し、スマート農業による省力化やコストカットが求められており、全国で様々な試みがされています。
その中でも、これらの課題の解決策として、近年最も大きな栽培方法の転換と言われているのが、
水田に直接種もみを播種する直播という農法への転換です。
移植栽培は苗立ちや生育の安定性等のメリットが大きいものの、直播と比べ圧倒的にコストが掛かっており、特に高齢化による田植え機への苗の運搬やセッティングに掛かる労力は多くの農業者の離農の理由の一つとなってしまっています。
直播はこれまで、求められる技術要件が高く、デメリットばかりが目立って伝わってきていました。そのため主食米ではなく、飼料米であったり、試験的な運用に留まっていたりと、まだまだ発展途上の農法と捉えられていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、田植え機、苗づくり用のビニールハウス、育苗箱などの大きな設備コストと労力を削減できるドローン直播への期待は大きく、地道な研究と開発、そして実証試験が続けられてきました。
そんな中、世界的な大手農薬メーカー「シンジェンタ社」が開発した水稲湛水直播向けソリューション RISOCARE(以下リゾケア)は、従来の湛水直播技術のデメリットを払拭させる革新的な種子処理技術からなり、その第一弾製品リゾケアXLが、昨年から一部地域での試験販売が始まっています。昨年の試験では、高収量の見込める品種でありながらも、これまで移植に比べ1割以上の減が当たり前という直播栽培で、反当り10俵以上の収量をあげられた事例もありました。
▼MG-1Pの粒剤タンクに充填されたリゾケアXL コーティング処理済み種子
|
2.リゾケアXLのメリット ~初めてでも安心~
リゾケアXLは、種もみに3種類の薬剤がコーティングされています。
それぞれが苗立ちをサポートしたり、初期害虫の被害を予防する効果などを持っているほか、
これまでの鉄コーティング種子では、限られた固さを求められた田面の調整もより簡単になっており、
播種直後の鳥害と収穫期の倒伏リスクを軽減できる土中播種(播種深度0.5cm程度)をオススメしています。
シンジェンタジャパンのリゾケア専用サイトでは、移植栽培との比較はもちろん、より柔軟な田面の仕上げ、シンプルな水管理、雑草問題の軽減などを紹介しており、初めて直播を行う方でもリゾケア直播で得られるメリットをわかりやすく紹介しています。
▼リゾケアのポイント:育苗も苗運びもいらない。春の作業に、うれしい変化を。
https://www.risocare.jp/#benefit
▼最適な田面の状態を診断する方法は、1mの高さからゴルフボールを落とし、
ゴルフボールが3割ほど顔を出した状態と説明するシンジェンタジャパン製品担当者
|
3.ドローン直播の方法や注意点など
リゾケアXLの播種は、ドローン、背負式動力散粒機、乗用播種機の3種類の方法で可能です。
それぞれにメリットがありますが、やはり最も省力化が期待できるのはドローンでしょう!
シンジェンタジャパンとDJI JAPANは共同で、DJI AGRAS MG-1PとDJI AGRAS T20で播種を行う際の設定を公開しています。 https://syngenta.libra.jpn.com/#/content/308
操縦に関しては、シンプルです。上記の資料に記載の推奨設定に合わせ、圃場内に均一に播種ができる様、2週回る(重ね撒き)を行うこと。
準備するものとしては、品種、面積によって散布量が異なるため、計りを用意する必要があるでしょう。
MG-1PとT20の場合、M+モードで散布すると速度に応じてシャッター開度は変わりませんので、速度低下による濃淡には気を付けて均一な播種を心掛けましょう。
また、農薬処理がされていますので、ドリフトには気を付け、取り扱う際にはマスクや手袋をするなど、製品ラベルをよく読み、取り扱いましょう。
▼当日の散布の様子。枕地散布を行い、ドリフトと事故防止に努めましょう。
|
4.最後に
以上、ここまでリゾケアXLのドローン直播について解説いたしました。
今回圃場をお貸し頂いた皆様やご見学された皆様は、田植え機を使わず、数分で終わってしまうドローン播種に感嘆の声を上げ、「これで良いならもう元には戻れないね…」といったご感想で、まさに水稲栽培の転換期を目の当たりにした我々も、感慨深いものがありました。
防除だけでなく、肥料散布、そして直播へとドローンが活躍するシーンが更に増え、これからの農業にとってなくてはならない存在であるドローンについて、ご興味のある方は弊社5お問い合わせフォームよりご相談下さいませ。
®はシンジェンタ社の登録商標です。
―関連ページURL―
▼北塩原村HP
https://www.vill.kitashiobara.fukushima.jp/
▼RISOCARE(リゾケア)HP
https://www.risocare.jp/
▼福島マルチローター教習センター(運営:山本商事株式会社)
https://mr.ysa.co.jp/
・・・・・・・・・・・・・・・
CONTACT US
まずはお気軽にご相談ください
03-6837-9889
受付時間:09:00〜17:30
お問い合わせ ©︎
SKY ROBOT .inc